フォルクスワーゲン・シャランTSI(2018年式) 2年乗っての感想

5人家族となったことでそれまで乗っていたレガシィ・ツーリングワゴンが手狭となり、個人的な好みではないが3列シートミニバンへの乗り換えを考えるようになり、いくつかの選択肢の中から最終的に選んだのはフォルクスワーゲン・シャランであった。
いくつかの選択肢…といっても3列シート+自動スライドドアという条件と、なるたけシンプルでクリーンなデザインのものを…という自分の条件に見合うものは現状ではシャラン(2代目)か新型ステップワゴンAIR(6代目)の実質2択であった。
新型ステップワゴンAIRは、シンプルなデザインを求めていた自分にとってはまさしく「これを待っていた」とすら思えるものだった。一時期は迷走しているようにも思っていたホンダ車のデザインだったが、現行型のフィット、シビック、ホンダeといった、やたらとメッキ加飾や派手なグリル造形やゴテゴテしたプレスラインなどに頼らない、抑制の効いた近年のホンダのデザイン路線にはかなり好感を抱いていた。

6代目ステップワゴン。左がAIR。こういうのでいいんだよこういうので。

引用元 Honda | 新型電気自動車「Honda e」を発売
1780mmという2011年当時の国産車としてはけっこう大きめの全幅であったレガシィに乗っている自分にとっては、ちょっと狭めかも? と思っていたステップワゴンの全幅だが、現行型(6代目)は1750mmくらいまで拡大されているとのことで、これについても良さそうな印象を受けた。また国産ミニバンということで、収納の多さなど日常での実用性は恐らくシャランより圧倒的に高いであろうとも思えた。
しかし購入を迷っていた当時、半導体不足の煽りを受けてか新型ステップワゴンAirは近所では展示されそうな気配も無く、また展示されて実車を確認したとしても当時の状況では納車がかなり先になるのではという懸念があった。
また二段構えのラインナップ(SPADAとAir)というのが、いかにも売り方の面で保険をかけているように感じられたのも個人的にはマイナスに感じられるポイントであった。ホンダの信じる「ミニバンとはこうあるべき」という理想をユーザーにぶつけてほしかった…というのは個人の勝手な想いではあるが、このあたりどうも商売然としたものを感じてしまうのであった(ホンダのミニバンといえばエリシオンもマイナーチェンジでアルファードを意識してか、登場時のクリーンで知的なフロントデザインとはかけ離れた派手なグリルにマイナーチェンジで鞍替えしたのがどうにも商売臭くて残念に思う)。
また現行のステップワゴン(5代目)は以前ホンダディーラーで実車を確認した際、インテリアのデザイン(特に運転席周り)がとっちらかっている印象だったのと、運転席シートに腰掛けた際に(当時乗っていた)レガシィに比べてどうもベンチに座らされているような、狭くて座面が足りていないような落ち着かない印象であったこともあり、若干シャランに気持ちが傾いていた。
一方のシャランは近所のフォルクスワーゲンディーラーに、3年落ちで走行距離14,000kmほどの低走行なシャランTSI・コンフォートラインが丁度良いタイミングで入庫しており、物は試しにと見に行ったところ思った以上に気に入ってしまい、その日のうちに契約してしまった次第。以下納車から2年経ち、1万5000kmほど走った時点での感想など。

見た目はやはりシンプル&クリーンで非常に好みである。全高が低いためにパっと見、この車がアルファードよりも全幅が広いとは全く思えない。なんだったらステップワゴンやノアよりも小さいようにすら思える。グリルやライトもほぼゴルフ6同様に派手な加飾や造形は一切なく、豪華さや威圧感といったものと無縁であり、悪く言うならば超地味である。そこが非常に気に入っている(余計な話ですが、ゴルフ8など昨今のフォルクスワーゲン車の内外装はこのシャランやゴルフ6、7あたりの世代のVW車に比べ、どうにもセールスアピールのための過剰な先進感の演出が感じられて好みではないのです)。

内装も外装と同様に首尾一貫してほぼ虚飾が無い。インパネには見やすさ最重視であろう大きな2眼メーター。メーターのデザインや使用されている書体も、実用性一点張りで余分な装飾などは排除されている。しかしその書体選択とレイアウトに、雑な仕事をまったく感じさせないのが良い。ボタン類も派手な加飾は無いが、心地よいクリック感やガタつきの無さに、それなりの手間がかけられているという印象を受けた。各部ドアも黒一色で地味なことこの上ないが、手が触れるような部位は大きなファブリックが貼られていたりして、安っぽさは感じさせない。ドア自体もとにかくぶ厚く重く、いかにも頑丈そうなつくりで、表面処理だけでは醸し出せない「良いモノ感」があるのも良かった。シンプルなものが好きな人なら、自分と同様に気に入るだろうと思う。あとシート! 詳しくは後述するがとにかくガッチリと重量感と丈夫さを感じさせる立派な造りで、これまた見てくれだけの革やステッチみたいなものは皆無のブラック&グレーの地味な表情なのだが、とにかく椅子本体のドッシリ感があり、全く持って安っぽさを感じさせず大変素敵である。

一方で室内の小物収納の物足りなさや、あまり後ろに倒すことができない2列目のシートリクライニング機能などは国産車に比べて「気が効いていない」のも事実だろうなと思う。無論2010年に登場した車なので、ナビ画面の小ささやスマホの置き場がまったく考慮されていないことなどはしょうがないにしても、グローブボックスが車検証と車のマニュアルを入れたらもう何も入らないというのは極端すぎて笑った。コンビニのレジ袋を吊るすフックなどという細やかなおもてなし精神はあるはずもなく、そのくせサングラスを2つ収納できる立派なルーフボックスがしっかり存在するあたり、文化が違う異国から来た車だなあと思う。
ラゲッジはシート三列目まで使用していると当然広大というわけではないのだが、日常の使用でまったく不足は無い程度には広い。実際シート三列目使用時でも我が家のベビーカーは畳んで立てた状態で収納可能だった。三列目シートを畳めば帰省時も大人2人、子供3人の衣類やらオムツやら豆イスやらを積んでもまだラゲッジの床面が見える余裕の収納力。まあ全幅1910mmもある車なのだから当然といえば当然か。シート三列目はアルファードのような跳ね上げ収納式ではなく床下収納式なのだが、三列目シートを床下に折りたためば広大でフラットな床面が出来上がるのも非常に実用的で良かった(キャンプの際などは大きいコンテナを滑らせるようにラゲッジの奥へ移動できるので)。
購入前に何よりの懸念点だったその巨大な横幅について。1910mmて。アルファードの全幅1850mmの60mmオーバーだ。こんな幅の車で古い住宅地なんかに入り込んでしまったら冷や汗ものだろうなと思っていたが、運転してみると意外にも不便には感じなかった(とはいえ軽自動車やコンパクトな車から乗り換える人はそうは思わないだろう)。もちろん狭い路地にはあまり入らないようにしているというのはある。また小回りはまったく効かないので、駐車場などでの切り返しが必要なシーンは増えたのは事実。しかし意外だったのは車庫入れ時で、以前乗っていたレガシィではミラーをたたまないと住んでいるマンションの立体駐車場には入らなかったのだが、レガシィより全幅が130mm大きいはずのシャラン、ミラーが小さいのだろう、なんとミラーを畳まなくても入庫することができた。道路が細く入り組んだ住宅地に住んでいる方でなければ、シャラン、全然大丈夫なんじゃないでしょうか。
そんなシャラン、走らせてみてまっさきに感じたことといえば、「速い!」という驚きであった。いや、実際にはそんなに速いわけではないのだろうが、ネット上のいろんな試乗記で書かれている通り、1830kgというかなりの重さの車体を1.4リッターのエンジンで動かしているとはまったく思えない加速である。水面をアメンボが移動するかのように、ツーっと静かに車体が加速していく。窓をあければエンジンの唸る音が聞こえるのだが窓を閉めた車内は遮音性が高いのだろう、まったく静かなもので気がづくとけっこうな速度が出ている。これ、レガシィより速いんじゃないの? とすら思える(といっても自分が乗っていたレガシィはノンターボ仕様ですが)。
乗り心地自体はいたって快適なもので、交差点を曲がったり、路面の荒れや少々の段差を通過しても、大きく揺すられるような浮き沈みはなく、フラットで静かな乗り心地。回すハンドルの重さはレガシィと同じくらいで、これはたぶん世間一般的には重い部類だと思われるが、落ち着きがあって良いと思った(このへんは好みでしょうね)。
特に印象深かったのはシート。噂通りの固い座り心地だが、走らせてみればシートに身体が沈み込んでしまうことがなく実に良い塩梅(レガシィも悪いシートではないと思うのだが、身体が若干シートに沈んでしまい、どうも眠くなってしまうことや、長時間運転するとシートが柔らかいことで何故だか身体がバキバキになってしまうことが度々あった。)。座面や背もたれは素材のせいか滑りにくく、気づけばお尻が座面の前方に移動して背中が丸まってしまっていたということも無く快適である。帰省や旅行の長距離移動でもシートの良さと静粛性とフラットな乗り心地、あとは当然車内が広いという点でレガシィよりも疲労は少なかった(狭い車内で子供3人がケンカなどしだすともう目も当てられないことになるのです)。
運転面で多少気になったのはブレーキくらいだろうか。欠点というほどではないが、ソフトにブレーキを踏みはじめると思ったほど減速せず、少々焦ってブレーキを踏み足す場面が少々あった。やはり車重がレガシィに比べヘビーだからだろうか? それともスバルのブレーキが車重に対して制動力が高いのものを採用しているのだろうか?
ACCの使い心地、レガシィはステレオカメラのアイサイト2.0だったが、シャランは単眼カメラ+超音波レーダー。ここについてはアイサイト2.0と比べて特段不便は無かったが、アクセル/ブレーキのかけ方がアイサイト2.0に比べると気持ちやや性急な印象で、これについてはアイサイト2.0のほうが安心感があった。衝突被害軽減ブレーキについては幸いまだお世話になっていないので、そこの性能については不明。
個人的にマイナスに感じたのはDSGの使い心地だろうか。ネット評を見る限り車好きな方からはもっぱら好評なように見受けられるが、正直運転センスにまったく自信のない自分としては、レガシィのCVTは何も気を使わずに運転できるし変速ショックというものとも無縁で非常に楽であったが、DSGはなかなか思ったタイミングで変速しなかったり、車重の重さもあって発進時にそろりそろりとアクセルを踏むことへの気疲れがあったりと、日常生活で使うにはややストレスを感じる部分ではある。運転やメカニズムがお好きな方はこのあたりはポジとして捉えられる部分かもしれないが。あとは住んでいる場所が渋滞が日常的に発生する+坂道だらけの住宅時ということもあり、レガシィ以上の燃費の悪さを若干恨めしく思うこともある。
ともあれ全体的な感想としては、おおむねネット評通り「外装も内装も地味で見た目は面白みが無いが、車としての基本的な性能はとても良い」車だと感じている。地味だがセンスの良い身だしなみ。人当たりが良いわけではないが仕事はきっちり丁寧にこなす真面目さ。見た目から中身まで一貫した、そんなキャラクター性を感じる(真面目な会社がディーゼルゲート事件なんか起こすかい! というツッコミはあるが)。無論、近所を走る使い方ならば、フリードとかシエンタあたりのほうが絶対にサイズ的にも燃費的にも便利だろうなと予想するが、高速道路も使うようなドライブも視野に入れるなら、満足感は明らかにシャランのほうが高いだろうなと思う。なにより個人的にはやはり「見た目が好き」というところで惚れてしまっているのが大きいが。
こういう月並みなことを書くのも恥ずかしいのだが、思うにやはりフォルクスワーゲンを含めてヨーロッパの車メーカーのいくつかは(良くも悪くも)キャラクターが立っていると思う。
フォルクスワーゲンのWebサイトの不親切さ(商品説明のそっけなさ・見積もりシミュレーションの大味さ等)。ディーラー対応のあっさりさ(必要なトークはするが雑談はあまり無し)。パンフレットの味気無さ(派手さや賑やかしの装飾などは無く、基本に忠実でシステマチックなレイアウト、必要最低限の印刷仕様)。オプション装備ラインナップのつまらなさ(基本的なオプションしか用意されておらず、ユーザーごとの個性を演出できるようなものは特に無い)。そういった点がマイナスというよりは、作っている車の「人当たりは悪いけど真面目そうな」性格と一致していて、ブランドの世界観をより強固にする要素として機能しているように思える。それがひいては「おべんちゃらは使わないけど、仕事はしっかりするんだろうな」といった好感を形成してゆく…などと言ったら贔屓目すぎるだろうが、キャラのブレなさには信頼が置ける気がする。
国内でそういった世界観を持っているブランドを想像して脳裏に浮かぶのは、スズキかなあと思う。高級車や立派な車は作らない。高級感は皆無だが実用性と遊び心を忘れない車づくり。長年に渡ってそうした姿勢を保ち続けたことで、スズキのキャラクターへの信頼感があるのだと思う(だから妙に高級志向だったキザシとかS-CROSSは国内であまり受け入れられなかったんじゃなかろうか…などと素人ながらに邪推する次第)。
マツダもブランドづくりに力を入れているなと思うのだけれど、やはり現在のブランドイメージ戦略を初めてから10年ほどしか経っていないから、見せようとしているキャラクター性にまだ付け焼き刃感を感じてしまうのは否めないと思う(とっても応援しています)。
と余計な余談が過ぎましたが、もしシャラン購入で迷っている方がいらっしゃったら、オススメしますよ。国産ミニバンの周囲を威圧するかのような顔つきがお好みでない方は是非是非。
5代目レガシィツーリングワゴン評(乗り換えに際して)

昨年三男が誕生し、5人家族となった我が家にとって、スライドドア付き3列シート車の導入は避けられない課題であった。
現在乗っているのは、スバル・レガシィツーリングワゴン(5代目)。自分にとっては人生初のマイカーである。国内ではもっぱら駄作だの不細工だの言われている車だ。しかし決して運転が上手くはないと自認する自分が、子供が産まれたことで必要に迫られて初めて購入するマイカーに於いては「安全であること」「ファミリーカーとしてそこそこの広さがあること」「そこそこ安い中古価格で入手できること」といったあたりを重視しており、2016年当時、中古でも信頼性の高い衝突被害軽減ブレーキを搭載している車といえばスバル一択であり、なおかつベビーカーやキャンプ道具を積んでストレスの無い広さを持つ車といえばレガシィツーリングワゴンかレガシィアウトバックしか無い…という消極的な絞り込みで購入した車であった。
レガシィツーリングワゴンは、見た目の不細工さ(特にフロントの顔!)とイマイチ伸びない燃費、という2点を除いては満足の行く車だった。

それまでレンタカーの軽自動車かコンパクトカーくらいしか運転したことのなかった自分にとっては、「ターボじゃないレガシィなんて…」と言われるノンターボ2.5リッターエンジンの産み出すパワーでも、必要以上に十分なものだった。
雪の日の子どもたちの送り迎えでも、凍りついた坂道でホイルスピンしているFF車を横目に4WDのレガシィはぐいぐいと不安なく坂上まで連れて行ってくれた。
運転の楽しさも、もちろんスポーティかと言われればそうではないのだが、実家の軽自動車やコンパクトカーなんかの、まるで電気で動くオモチャのような運転感覚に比べれば、はるかにしっとりと重厚で心地よいものだった。
巷で悪口を言われがちなCVTも運転初心者の自分には気を使う部分もなく至って扱いやすく、広いラゲッジルームは衣類や食料に加えてベビーカーや子供用の椅子を積み込んで帰省することも可能にしてくれた。
4代目までに比べてデブって格好悪くなったと評判の5代目だが、ネット上の試乗記の多くに書かれているように、そのプロポーションと引き換えに後席の広さには余裕があり、チャイルドシートを横に2つ並べた上でさらにもう一人、大人を後席に座らせて移動することもできた。
自動追従機能を持つアイサイト2.0は高速道路での運転に於いて抜群の使い勝手を発揮した。追い越しなど考えなければペダルワークはほぼアイサイト任せで良く、もはや実質自動運転なのでは? と思えるほどに便利な装備であった。お恥ずかしながら自動ブレーキでヒヤリとするシーンを救われたこともある。
総じて実用的で、運転もまあまあ楽しくて、安全でいい車だったのだ。
しかしそんなレガシィツーリングワゴンを愛せたかと言われると、やや躊躇わざるを得ない。

この車、お尻から側面にかけての見た目は、落ち着いた重厚感もありながら、ほどほどのスポーティさがミックスされた、決してヤンチャすぎない大人っぽい雰囲気をまとっていると思う。
しかしフロントマスクを見るとこれでもか!と巨大すぎる吊り目のヘッドライトがこちらを睨めつけており、そのアンバランス感たるやまるでザクレロの如きである。「スバルの前身である中島飛行機の血統を表すべく翼をモチーフにした」との触れ込みの銀メッキグリルの意匠はなんとも男児向け玩具のようでもあり、急にフロントだけヤンチャな雰囲気になっていて、なんというか車全体の世界観がチグハグな印象なのだ。
車内の内装も、どうにも落ち着きが悪い。ハンドルは革で覆われているしシートは10ウェイ電動式と充実している一方で、最も目立つセンターコンソールはどデカいプラスチックで覆われていて安っぽい……のだが、プラスチック全体が磨かれた金属のようなテクスチャとシルバーの塗料で加飾されていて、なんとか高級な方向に盛っていこうとしているかのようである。かと思えばスポーティな雰囲気のカーボン模様が印刷された樹脂パネルが所々に施されてたりもしている。
なんというか、素材も加工も世界観がなんだかバラバラなのである。

これがまたプロボックスみたいに実用一点張り、それ以外は後回しで!みたいな姿勢だと筋が通っていてそれはそれで味にも思えるのだが、実用性も安全性もそこそこの高級感も良心的価格に抑えることも、あらゆることを全部がんばっちゃった結果、総合的には良い車なんだけどキャラがイマイチ立ってない人、みたいになっちゃったように思える。真面目で優しくて仕事もできていい人だし、ファッションもそれなりに気を使ってはいるんだけど、な〜んか惹かれないのよね…みたいな。
なんでしょうね、車を作る側が乗る人のことをすごく考えてくれて、乗る人のためにあらゆる努力をしてくれているんだけども、乗る人のことを大事にしすぎた結果、作ってるそのひと本人の「俺の考える車の理想像はこうなんだ」という気持ちとか美学とかが置き去りになっちゃって、結果として「いい車なんだけど世界観が良くわからない」車になっちゃったんじゃないかしら、などと勝手な感想を抱くのである。
いや、実際乗ればほぼ不満の無い、使い勝手のいい車なんですよ。ほんと。
でも悲しいかな、モノを好きになる時って、作り手の姿勢とか美学とか、そういうものに触れて惚れるんじゃないかしらと思う。5代目レガシィ、とっても真面目で使えて価格も良心的な車なんだけども、どうにも作り手の姿形がボンヤリしている。
いや、ボンヤリはしていないな。従来よりも広い室内空間を確保しながらも、大きすぎて困るというところまではいかないギリギリのサイズ設定。価格を抑えつつも精一杯高級感も担保しつつ、燃費も向上させながら従来のスポーティさも完全には捨てきらないその姿勢。たぶん自分の好みや美学は脇に置いて、ものすごく真剣に、既存のお客さんにも新規のお客さんにも喜んでいただけるものを…と、全方位に向けて涙ぐましい努力をしたであろう開発陣の姿が脳裏に浮かんでくる。それは「貴方はいつも私の意見ばっかり聞いて、貴方自身はどうしたいのかちゃんと言ってよ!」みたいなことを言われる可哀相な男の姿とも重なるのだが……(ひどい)。
でも大丈夫、そんな生真面目で自分のエゴを押し出せない姿を愛してくれる人も、少なからず居るはずだから。気のせいか二代目レヴォーグにも似た哀愁を感じるけども。

とまあ特別愛しているわけでもないが買い換えるほどの不満もなかったレガシィツーリングワゴンなのだが、話を冒頭に戻すと、家族が5人ともなってくるとさすがに手狭になってくる。
出先で大量の荷物を積んだベビーカーを押しながら片手に三男を抱えつつもう片方の手でウロチョロする次男を捕まえ、ヒンジドアを開けてチャイルドシートに子供らをなんとか押し込み、ベビーカーを畳んでラゲッジによっこらせっと…などとやっていると、自動スライドドア3列シートの魅力には抗えないことは必至で、ついにミニバンの購入を検討しはじめた次第。
が、欲しいミニバンがあまり無い。
根が文化系の根暗キャラであり、やさしくて可愛いものが好きな自分にとって、自らの力を誇示するかのごときトヨタ系ミニバンの造形はどうやっても好きになれず(この点は5代目レガシィの造形も大概だが)、日産セレナも現行の5代目ステップワゴンも同様の理由でもうひとつ欲しいとは思えず、残るは6代目ステップワゴンAirか、フォルクスワーゲンのシャランか…と悩んでいる今日このごろなのであった。
※他人の自動車購入に至る日記などを読むのが割と好きなので、自分も書いてみました。
トミカリミテッドヴィンテージNEO 日産 Be-1 キャンバストップ

特にミニカー収集癖などはなかったのだが、4年ほど前(2018年)、4代目ジムニーが発売された際にその可愛らしさに心惹かれ、ジムニーのトミカを購入したのをきっかけに、好きな車の3インチミニカーを時々買うようになり、気づけば手元にそこそこの量の素敵なミニカーたちが貯まっていたので、折を見てここに載せていこうかなと思う。
トミカリミテッドヴィンテージNEOのラインナップでは2010年に追加された「日産Be-1」。私がミニカーを集め始めるようになったのは2018年頃からなので、Be-1の代表的なボディカラーと言えるパンプキンイエローのものは市場にはあまり出回っておらず、出ていたとしてもかなりの高額だったこともあり、たまたま割安で出ていたこの白いBe-1を購入した。
この白いボディカラーはネット上で見かけたBe-1のカタログによると「オニオンホワイト」と名付けられているそうだ。ほんの少しベージュがかったこの白いボディカラーは、無印良品の製品の、あのすこしオフホワイトな白を思わせる。
Be-1が登場した1987年といえば、セゾン文化の影響がまだまだ大きく、またそこから誕生した無印良品が時代の先端のショップとして世間に迎え入れられていた頃だろうから、Be-1のデザインにも、当時の無印良品的なるセンスの影響が含まれていてもおかしくはないだろう、と勝手な想像を働かせる。
なんにせよ80年代に於けるハイテクへの憧憬を形にしたような、角張ったフォルムの車が多かった中で、思い切り逆張りしたかのようなBe-1のこの丸っこいフォルムや、あえてアナログ的な世界観を想起させるようなキャンバストップの採用は、当時幼心ながらにも実に粋に感じられたものだ。


ミニカーとしての出来栄えについては、特段文句なし。トミカリミテッドヴィンテージNEOは、どれも塗装や部品の取り付けがとても丁寧な印象がある。反面、「この部分は妙にこだわりました!…代わりにここはちょっと雑になっちゃいましたけどエヘヘ」みたいな部分もあまり感じられず、優等生だけどやや個性が薄いというのが個人的な印象。買ってまず間違いない仕上がりを見せてくれるブランドではある。
というか仕上がりのクオリティとかとは別に、ラインナップされている車種の部分で、十二分にトミカリミテッドヴィンテージNEOらしさを出しているとも思える。Be-1の1/64スケールミニカーなんて、あんまり他メーカーでは見ませんしね!
唯一、はっきりとした不満点としては、トミカという名前を背負っているからこそのこだわりなのか、トミカリミテッドヴィンテージNEOの製品に於いてドアミラーが度々省かれているのは、どう見ても大人向けの価格帯のミニカーブランドとしては如何なものでしょうか……。こんなん子供に触らせませんから! お願いしますよ、トミーテックさん。
